言葉が力を失う瞬間

 つい最近の話なのですが、知人のご家族が病気にかかったという話を知人本人から聞きました。何でも私と同い年だそうです。自分自身が持病がある事もあり、最初は「まあ、私らくらいの年齢になれば何が起きても不思議じゃないですよね・・・」というのが正直な感想でした。

 また、私自身の父が36歳である日突然死んだこともあり、「朝には紅顔ありて、夕には白骨となれる身なり」という感覚は常に私自身の中にあります。「でもまあ、早く病気がわかってよかったじゃないですか」次の瞬間、絶句しました。あまり事態が深刻だと、言葉は本当に無力であることを改めて思い知らされました。瞬間的に頭真っ白、気のきいた言葉なぞ出てきませんでした。

 おためごかしの言葉なぞ、何の役にも立たない・・・それにしても、もっと言い方ってもんがあったんじゃないのか、他にかける言葉がなかったのか。己の未熟さと無力を後悔し、反省しました。

 自分自身の死や生きること、あり方についても考えさせられました。それと同時に一日も早いご病気の平癒を心から願わずにいれませんでした。