PowerEdge SC430 SATA2RI2-PCIeによるRAIDの構築・・・はじめに

 ここまでの文面を読んでいただいた方にはわかると思いますが、ソフトウェア、ハードウェアを問わず私は実験が大好きです。最近はパソコンそのものの進化により、大してハードウェアをいじらずとも通常の操作には問題がなくなっています。ただ、いざというときにそれじゃ困るだろというのが私の持論です。

 最低限でもHDDやメモリの増設や交換くらいはできたほうがいいと思いますし、更に言うなら初期状態に戻せたりバックアップを取ったりぐらいまでできれば(ソフトウェアを使ってでも)言うことなしです。この項目も、好奇心による実験の一環です。

RAIDとは

 RAIDとは、HDDを複数台用意し、組み合わせて使うことで高速化、可用性の向上などいろいろな効果が狙える技術です。元々はサーバから来た技術です。詳しい解説はここにのっています。近年、HDDの急激な価格低下、マザーボード自体がRAID機能をサポートするなどの要因により個人でRAIDを組む人が増えているようです。企業対象のノートパソコンでも、RAIDをサポートするものが出てきているようです。個人が組むRAIDでは、次の5つのうちのどれかを選ぶ場合が多いようです。

RAID 0・・・高速化目的。2台以上のHDDをまとめて1つのHDDのように扱い、分散書き込み、読み出しを行うことで高速化を実現しています。1つでもHDDが壊れると全てのデータが読み出せなくなる欠点があります。冗長性がないため、厳密な意味ではRAID 1〜6とは異質な存在です。通称ストライピング。

RAID 1・・・可用性確保目的。全く同じデータを2台以上のHDDに書き込みます。HDDのうち1台が壊れても生き残ったHDDから復旧が可能です。また高価なボードの場合片肺飛行をしながらホットスワップで取り替えたHDDを書き換えるなどの芸当も可能です。ミラーリングとも呼ばれます。欠点はHDDの容量効率が悪いこと。

RAID 0+1・・・ストライピングしたものを2セット以上用意することで、高速性と可用性の両立を狙います。最低4台HDDが必要。欠点はお金がかかることですかね。

JBOD・・・HDDの大容量化目的。複数のHDDをまとめて1つのHDDとして扱うという点ではRAID 0と同じですが分散書き込みを行わないことがRAID0との違いのようです。これまた1台でも壊れると全てのデータが読み出せなくなる可能性があります。

RAID 5・・・3台以上のHDDを組み合わせて構築。1台のHDDが壊れても残りが無事ならばデータの復旧ができるという特徴があります。HDDの容量効率も比較的よいため最初からこれで組む方も多いようです。

RAIDの選定

 まず、自分が何をRAIDに求めるかで話は全然変わってきます。映像編集を行いたいなどの理由でとにかく高速なマシンがほしいならRAID 0RAID 0+1でしょうし、可用性重視ならばRAID 1もしくはRAID 5、容量重視ならRAID 0もしくはJBODでしょう。

 RAID 0JBODを利用する場合問題になるのが可用性です。台数が増えれば増えるほど可用性は落ちます。しかし、以前に比べてHDDの信頼性自体が向上している点もありこの点をどう考えるかは人によるでしょう。むしろ、HDDの故障によるものよりも設定ミスや誤消去などによる起動不能の方が実際は問題になるかもしれません。

注意点

 電源の容量や発熱に注意が必要です。数台のHDDを使う場合は電源容量に注意しないと動作が不安定になる可能性があります。また、HDDの大容量化にともなって発熱もかなりのものになっています。ファンを追加するなどの予防をしたほうがいいかも。

 また、RAIDを構築したからといってバックアップを取らなくていいわけではない事にも注意が必要です。設定ミスやウィルスなどには無力なためバックアップは絶対に必要です。可用性を高める事に本質があり、それとバックアップは別物ということです。

ハードウェア?ソフトウェア?

 RAIDにはハードウェアによるものとソフトウェアによるものがあります。現状では、個人が手が届きやすい範囲のRAIDカードは大方ソフトウェアRAIDらしいです。ハードウェアRAIDの方が信頼性やスピードは上のようですが最低でも数万円はするようです。

SATA2RI2-PCIeについて

 考えた末ソフトウェアでRAID 1を組むことにしました。本来ならばPowerEdge SC430チップセットであるIntel E7230はRAIDをサポートしているはずなのですがBIOSで機能が使えないようになっているようです。ある日、ネットで色々調べものをしていたらたまたまこのカードの存在を知りました。4000円前後でRAID 0 もしくはRAID 1JBODに対応しています。「面白そうだしこれくらいなら勉強代として出してもいいかな」と思い、挑戦することにしました。余っているHDDやPCI-Express×1スロットも有効活用できますし。スピードはさほど重視しない性格なので信頼性を重視し、RAID 1を選択しました。この製品は玄人志向から出ているものです。玄人志向は文字通りサポートなしという「玄人による玄人のためのブランド」なんですが、先日購入したビデオボードやサウンドカードがあっさり動いたため正直甘く見ていました。しかし、このカードには本当にてこずりました。結果的にWindowsFedora Core 5ともにRAID 1にすることに成功しましたが丸4日間もかかりました。その間Fedora Coreは2回、WindowsXpは1回再インストール。おかげでシェルスクリプトの書き方が上達しました(爆)。ここからは悪戦苦闘の記録になります。